福井晴敏の『6ステイン』
6本の短編集なんやけど、1本目の「いまできる最善のこと」で利己主義のカタマリだった元・工作員が人間味を取り戻していく温かみと、2本目の「畳算」の切ないこと。
旧ソ大使館の内通者と、婆さん、防衛庁情報局の工作員しか出てこないのに、この切なさは何。
今読んでるのは3本目の「サクラ」ですが、続く短編も「断ち切る」とかいうタイトルがついてて、なんとなく切なそうな。
という訳でまたユル目の本を読みたくなり、買ってきたのが
休みの国@中島らも
地震がくると言いながら高層ビルを建てる日本@デュラン・れい子
の2冊。
既に6ステインと平行して「休みの国」読み進めておりますが、500以上あるという「○○の日」、つまり「カレーの日」「青年海外協力隊の日」みたいなのについてのエッセイで、かなりどうでも良い内容(それが良いのだけど。
2003年の大麻所持の後に出版された本らしいが、昔の頃の切れ味は無くなってるな。
「地震がくるといいながら高層ビルを建てる日本」の方は、前作が「一度も植民地になったことがない日本」という本だったのだけど、タイトルのインパクトで買ってしまった。
そうよね、と。
アジアで欧米列強の植民地にされなかったのはタイ王国と日本だけ。
これはもちろん、当時の日本人が相当な努力をした結果なんだけど。
日本の公用語がオランダ語や英語じゃない事を先人に感謝しろと。
開国から30年で近代化した国なんて無いんだよと。
タイトルのその当たり前のピュアさに惹かれて買ってみたら、ま、海外に住んでる日本人のフツーのおばちゃんが見た「外国人から見た日本」の紹介なんやけど、改めて指摘されると新鮮ね、っちゅう事実がたくさんあって日本人でよかったなと思える大変エエ本でした。
そんな感じで本作にも期待。
以上、合掌。
■休みの国
■一度も植民地になったことがない日本
■地震がくるといいながら高層ビルを建てる日本